「相続財産」とは?種類・評価方法・注意点を解説

目次
はじめに|相続財産を正確に把握することは「相続トラブル防止」の第一歩
相続のご相談を受けていると、
「相続財産には何が含まれるのか分からない」
「預金以外に何を調べる必要がある?」という疑問があるかと思います。
実は、「相続財産を正確に洗い出せていないこと」こそが、
・相続人間での不信感
・不公平感の発生
・遺産分割協議の長期化
・最悪の場合は訴訟トラブル
に繋がる大きな原因です。
本記事では、郡山市で相続業務を取り扱う行政書士の立場から、
相続財産の種類・評価方法・財産調査のポイント・注意点を徹底解説します。
相続財産とは?
相続財産とは、被相続人(亡くなった方)が
死亡時点で所有していた財産・権利・義務の総称をいいます。
主に次の3つに分類できます。
- プラスの財産(積極財産)
- マイナスの財産(消極財産)
- みなし相続財産(生命保険金など)
相続財産を正確に把握するには、
これらを漏れなく調査する必要があります。
プラスの相続財産(積極財産)
相続で最もイメージしやすいのが「プラスの財産」です。
1 .不動産(宅地・建物・農地)
- 自宅
- アパート・投資物件
- 農地・田畑
- 駐車場用地
- 山林
登記簿情報はもちろん、固定資産税評価証明書や名寄帳で全体像を確認します。
■ポイント
地方の場合、農地や山林が後から見つかるケースが非常に多いため、必ず自治体で名寄帳を取得することが重要です(郡山市でも同様)。
2 .預貯金
- 銀行預金
- 郵便貯金
- 外貨預金
銀行ごとに取引照会を行い、死亡日残高を確認します。
3 .現金・自宅内の金庫
意外と大きいのが「現金」。
相続開始後の持ち出しトラブルが起こりやすい財産のため、早期確認が必要です。4 .株式・投資信託・債券
証券会社に対して残高証明書の発行を依頼します。
5 .事業用財産
- 中小企業の株式
- 事業用口座
- 農業用機械
特に地方では「農業機械・農地」がセットになっているケースも多く、評価に注意が必要です。
マイナスの相続財産(消極財産)
相続ではプラスの財産だけでなく、
借金や未払金などのマイナスも引き継ぎます。
1 .借入金
- 住宅ローン
- 事業用借入
- カードローン
マイナス財産が大きい場合は相続放棄(家庭裁判所)も視野に入れます。
2 .未払の医療費・介護費用
亡くなる直前に医療費が高額になるケースが多いので要注意。
3. 未納の税金
- 住民税
- 固定資産税
- 所得税
税金の未納も相続人が引き継ぎます。
相続財産に含まれないもの
「相続財産」だと思われがちですが、実は含まれないものがあります。
1 .生命保険金(受取人が指定されている場合)
受取人固有の財産となるため、遺産分割の対象外です。
※ただし相続税の計算上は「みなし相続財産」として扱われます。
2 .死亡退職金(受取人が遺族の場合)
これも「相続財産」ではなく「遺族固有の財産」です。
3 .祭祀財産(仏壇・墓地・位牌)
民法897条により、祭祀承継者が承継する特別な財産です。
第897条
- 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
- 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
相続財産の調査方法
「相続財産が漏れる」ことでトラブルは発生します。
そのため、財産調査は次の手順で行います。
1 .戸籍・法定相続情報一覧図の取得
相続人を確定させるために必要です。
2 .不動産調査
- 名寄帳
- 固定資産税評価証明書
- 登記事項証明書
農地がある場合は、農地台帳の確認も行います。
3 .銀行・証券の調査
- 残高証明書の取得
- 取引履歴の確認
4 .自宅内の調査
- 現金
- 通帳
- 保険証券
- 不動産の権利証
5 .借金の調査
- 金融機関
- クレジット会社
- 税務署・市役所の未納税金
相続財産の評価方法
遺産分割協議書作成、相続税申告の基礎となる重要ポイントです。
1 .不動産の評価
- 固定資産税評価額
- 路線価(相続税の場合)
- 鑑定評価(必要に応じて)
2 .預貯金
死亡日時点の残高で評価。
3 .株式・投資信託
証券会社の「残高証明書」で評価。
4 .農地の評価
農地の場合は区域区分(市街化区域、白地、農振地域など)が大きく影響します。
※郡山市の場合も「農振除外の可能性」や「営農状況」により評価が変動する点が特徴です。
相続財産の把握でよくあるトラブル
1 「後から財産が見つかった」と言われる
地方では「農地」「山林」が抜け落ちるケースが多いです。
2 現金の持ち出しトラブル
死亡直後に親族が勝手に金庫を開ける例が後を絶ちません。
3 評価額の認識違い
不動産を巡るトラブルが最多です。
4 生命保険金の勘違い
生命保険は相続財産ではないため、
均等分割の対象外であることを理解する必要があります。
行政書士がお手伝いできること
相続財産の把握には専門的な知識と手続きが必要です。
行政書士として、次のサポートができます。
1 財産調査の補助
戸籍取得、不動産調査、金融機関調査のサポート。
2 遺産分割協議書の作成
相続人全員が納得し、法的に有効な協議書を作成します。
3 相続関係図・財産目録の作成
見やすく整理し、トラブルを防止します。
4 農地が絡む相続への対応
福島県では「農地相続」が特に多く、
農地法との絡みが重要ポイントです。
まとめ|相続財産の正確な把握がトラブルを防ぐ
相続財産は、
不動産・預金・株式などの「プラスの財産」だけでなく、
借金・未納税金などの「マイナス財産」まで含まれる非常に広い概念です。
相続トラブルの多くは、
「財産の洗い出しが不十分であった」
ことから発生しています。
行政書士としては、
- 財産調査
- 相続関係図作成
- 遺産分割協議書作成
- 農地を含む相続案件の対応
などを通じてご家族をサポートできます。
郡山市で相続にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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