相続人が海外にいる場合の手続きとは?

目次
はじめに
日本人の海外移住や国際結婚の増加により、
相続人が海外に住んでいるケースは珍しくありません。
相続手続きは日本国内だけでも複雑ですが、
相続人が海外にいる場合には
さらに注意すべきポイントがあります。
- 遺産分割協議書の署名方法
- 印鑑証明書の代替書類
- 本人確認書類
- 国際郵送
- 在外公館の利用
など、通常の相続手続きとは
異なる対応が必要になります。
本記事では、
「相続人が海外にいる場合の手続き」について解説します。
相続人が海外にいるケースとは
まず、どのような場合に
「海外相続人」が問題になるのでしょうか。
主なケースは次の通りです。
① 相続人が海外在住の日本人
最も多いケースです。
例えば次のような状況です。
- 子どもがアメリカに移住している
- 相続人が海外赴任中
- 永住権を取得して海外在住
この場合、
日本国籍であっても
日本の住民登録が無いことが多いため注意が必要です。
② 相続人が外国人
次のようなケースです。
- 国際結婚
- 外国籍の配偶者
- 外国籍の子ども
この場合でも、
国によって異なりますが、
相続は基本的に
日本の法律(被相続人の本国法)で処理されます。
相続人が海外にいる場合に問題になるポイント
相続人が海外にいる場合、
通常の相続と異なる点がいくつかあります。
主なポイントは次の4つです。
1 印鑑証明書が取得できない
2 遺産分割協議書の作成方法
3 本人確認の方法
4 国際郵送の問題
それぞれ解説します。
印鑑証明書が取得できない
日本国内で相続手続きを行う場合、
遺産分割協議書には印鑑証明書が必要になります。
しかし海外在住者は、
- 住民登録がない
- 印鑑登録がない
というケースが多く、
印鑑証明書を取得できません。
この場合は次の書類で代替します。
在外公館での「署名証明」
海外在住者は、次の場所で証明書を取得できます。
- 日本大使館
- 日本領事館
ここで取得できるのが
署名証明(サイン証明)です。
これは、
「この署名は本人のものです」という証明になります。
この証明書を遺産分割協議書に添付することで、
印鑑証明書の代わりになります。
遺産分割協議書の作成方法
海外相続人がいる場合でも、
遺産分割協議書の内容自体は通常と同じです。
ただし注意点があります。
遺産分割協議書の署名方法
日本では通常
- 実印押印
- 印鑑証明書添付
ですが、海外相続人の場合は
署名(サイン)になります。
つまり
日本在住相続人
→ 実印
海外相続人
→ 署名
という形になります。
在外公館で署名証明を取得する流れ
一般的な流れは次の通りです。
① 遺産分割協議書を海外へ送付
② 相続人が日本大使館へ行く
③ 職員の前で署名
④ 署名証明書を取得
⑤ 日本へ郵送
この方法が最も確実です。
海外相続人の本人確認書類
海外相続人の場合、
本人確認書類として次のものが使われます。
主な例
- パスポート
- 在留カード
- 現地ID
- 署名証明
行政書士としては、
パスポートのコピーを取得しておくと安心です。
海外相続人がいる場合の相続手続きの流れ
一般的な流れは次の通りです。
① 戸籍収集
② 相続人確定
③ 財産調査
④ 遺産分割協議書作成
⑤ 海外相続人へ送付
⑥ 署名証明取得
⑦ 書類回収
⑧ 不動産登記や銀行手続き
注意点① 手続きに時間がかかる
海外相続の場合、
最大の問題は時間がかかることです。
理由は次の通りです。
- 国際郵送
- 大使館予約
- 書類作成
通常の相続より
1~2ヶ月程度余分にかかる
こともあります。
注意点② 銀行手続き
銀行によっては
独自の書類を要求することがあります。
例えば
- 海外住所証明
- 追加の本人確認
- 翻訳書類
などです。
金融機関によって対応が違うため、
事前確認が重要です。
注意点③ 不動産の相続登記
不動産がある場合、
相続登記が必要になります。
2024年から相続登記は義務化されました。
海外相続人がいる場合でも、
- 遺産分割協議書
- 署名証明
があれば登記可能です。
行政書士に依頼するメリット
海外相続は書類が多く、
個人で行うと非常に大変です。
行政書士に依頼するメリットは次の通りです。
① 書類作成を任せられる
- 遺産分割協議書
- 相続関係説明図
- 相続人調査
などを任せることができます。
② 海外相続人への案内ができる
行政書士は、
- 署名証明の取得方法
- 必要書類
- 手続きの流れ
を説明できます。
③ 相続手続き全体をサポート
行政書士は、
- 税理士
- 司法書士
- 不動産会社
などの専門家と連携し、
相続手続きをトータルサポートすることができます。
海外相続人がいる相続は早めの準備が重要
海外相続人がいる場合、
通常の相続より手続きが複雑になります。
そのため、
- 早めの書類準備
- 専門家への相談
が重要です。
特に
- 不動産
- 預貯金
- 株式
などの財産がある場合、
手続きが長期化する可能性があります。
まとめ
相続人が海外にいる場合の
手続きのポイントは
次の通りです。
主なポイント
- 印鑑証明書の代わりに「署名証明」を利用
- 在外公館で署名証明を取得
- 遺産分割協議書は署名で対応
- 手続きは通常より時間がかかる
海外相続は専門知識が必要になるため、
行政書士など専門家に相談することで
スムーズに進めることができます。

