なぜ相続手続きで行政書士が選ばれるのか

目次
はじめに
― 専属業務ではないのに相談が集まる理由 ―
相続が発生したとき、多くの方が最初に悩むのは次のようなことです。
- 相続の手続きは誰に相談すればいいのか
- 行政書士・司法書士・弁護士の違いが分からない
- 遺産分割協議書はどの専門家に頼むのが正解なのか
実際、「遺産分割協議書は行政書士の専属業務ではない」と聞くと、
「それなら、なぜ行政書士に依頼する人が多いのか?」
と疑問に思われる方も少なくありません。
結論から言えば、
行政書士は相続の性質と非常に相性の良い専門家だからです。
本記事では、なぜ相続手続きの場面で行政書士が選ばれるのかを
実務の視点から分かりやすく解説します。
相続で求められているのは「争いの解決」ではない
相続と聞くと、裁判やトラブルを想像する方もいますが、
実際の相続の多くは次のような状態です。
- 相続人同士で大きな争いはない
- 話し合いはできている
- ただし、手続きや書類の作り方が分からない
つまり、多くの相続人が求めているのは、
争いに勝つこと
ではなく
穏便に、きちんと終わらせること
です。
この「争いのない相続」を前提としたとき、
行政書士の役割が非常に重要になります。
遺産分割協議書の本質は「合意内容の文書化」
遺産分割協議書は、相続人全員の話し合いによって決まった内容を、
- 法的に意味のある形で
- 第三者(金融機関・法務局など)が理解できるよう
- 将来のトラブルを防ぐ表現で
文書にまとめる書類です。
これは「交渉」や「代理行為」ではありません。
事実と合意内容を正確に整理し、文書として完成させる作業です。
行政書士は、
- 権利義務に関する事実証明書類
- 官公署に提出する書類
- 内容の正確性と形式の整合性が求められる文書
を専門に扱う国家資格です。
そのため、遺産分割協議書の作成は、
行政書士の専門性と非常に親和性が高い業務といえます。
「中立な第三者」でいられる
相続では、たとえ揉めていなくても、
- 相続人同士の立場の違い
- 過去の家庭事情
- 感情的なしこり
が表に出てくることがあります。
このとき重要なのが、誰か一人の味方ではない立場です。
行政書士は、
- 特定の相続人の代理人ではない
- 紛争を前提とした交渉を行わない
- 相続人全員の合意内容を公平に整理する
という立場で関与します。
この中立性があるからこそ、
「この人に任せても大丈夫」という安心感につながり、
結果として行政書士が選ばれるのです。
相続手続きは「書類1枚」で終わらない
相続手続きは、遺産分割協議書を作って終わりではありません。
実際には、
- 戸籍の収集
- 相続関係説明図の作成
- 預貯金の解約手続き
- 各種名義変更
- 不動産や農地が含まれる場合の整理
など、多くの手続きが連動します。
行政書士は、
- 相続全体の流れを把握し
- どの手続きが必要かを整理し
- 必要に応じて他士業につなぐ
という相続全体の交通整理役を担うことができます。
そのため、「まず最初に相談する専門家」として行政書士が選ばれやすいのです。
説明について
相続手続きに不安を感じる最大の理由は、
何を、どの順番で、どこまでやればいいのか分からない
という点です。
行政書士は、日常的に一般の方から相談を受ける立場にあるため、
- 専門用語をかみ砕いて説明
- 全体像を順序立てて説明
- 「今やること」「後でやること」を整理
することを得意としています。
「話しやすさ」「説明の分かりやすさ」も、
行政書士が選ばれる大きな理由の一つです。
費用と内容のバランスがちょうどいい
相続人の多くは、
- 専門家には依頼したい
- でも大げさな対応は望んでいない
- 費用も現実的な範囲に抑えたい
と考えています。
行政書士は、
- 紛争を前提とした高額な業務ではなく
- 書類作成を中心とした実務的な対応
を行うため、費用とサービス内容のバランスが取りやすいのも特徴です。
この点も、行政書士が相続手続きで選ばれる理由といえるでしょう。
行政書士・司法書士・弁護士の役割分担
相続に関わる専門家は、それぞれ役割が異なります。
- 行政書士
相続全体の整理、遺産分割協議書の作成、各種手続きのサポート - 司法書士
相続登記など不動産登記手続き - 弁護士
相続人間に争いが生じた場合の法的代理
相続の多くは、
行政書士が入口となり、
必要に応じて他士業と連携する形で進めるのが合理的です。
まとめ|なぜ行政書士が選ばれるのか
行政書士が相続手続きで選ばれる理由は、
「専属業務だから」でも「他士業より優れているから」でもありません。
- 争いのない相続に適している
- 中立な立場で関与できる
- 書類作成を専門としている
- 相続全体を分かりやすく整理できる
これらの特性が、相続人のニーズと一致しているからです。
相続を「揉めずに、確実に、安心して終わらせたい」
そう考える方にとって、非常に心強い存在といえるでしょう。
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