相続人がいない?行方不明?— まず知っておきたい基礎知識

はじめに

「相続人がいない場合は、財産は国に取られてしまうんですよね?」
「相続人が行方不明で、手続きが止まっています…」

このような話を聞いたことはありませんでしょうか。

確かに、
相続人がいない、または行方不明のまま手続きができない場合には、

  • 相続財産清算人(そうぞくざいさんせいさんにん)
  • 不在者財産管理人(ふざいしゃざいさんかんりにん

という制度が関係してきます。

しかし、
「いつ、どちらを使うのか」
「どういう順番で手続きをするのか」

ここが非常に分かりづらいのです。

本記事では、専門用語をできるだけかみ砕きながら、

  • 仕組み
  • 手続きの流れ
  • 依頼先
  • 注意点

をわかりやすく解説していきます。

相続人がいない場合とは?(法定相続人がゼロのケース)

まず、「相続人がいない」とは、次のような場合をいいます。

① 配偶者も子どももいない

独身のまま亡くなった場合などです。

② 子どもはいるが、すでに死亡していて代襲相続人もいない

③ 直系尊属(父母・祖父母など)もいない

④ 兄弟姉妹もおらず、甥・姪もいない

つまり、

誰一人として、相続権を持つ人が残っていない

という状態です。


相続人がいない場合、財産はどうなる?

「すぐに国のものになる」と誤解されがちですが、
実は次の流れを踏みます。

1. 相続財産管理人(相続財産清算人に近い役割)が選ばれる

申し出をすることで家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。

2. 債権者・受遺者などへの弁済

  • 借金
  • 未払い料金
  • 遺言で財産を受け取る人がいる場合

これらを整理・支払います。

3. 特別縁故者への財産分与

一定の要件のもと、次の人が請求できることがあります。

  • 長年介護していた人
  • 同居して生活を支えていた人
  • 事業や財産の維持に協力した人

4. それでも残った財産は国庫へ

ここで初めて、国に帰属します。

「亡くなった方と特別な関わりがあった人」が救済される可能性がある

という点は、意外と知られていません。


相続人が行方不明の場合 — 不在者財産管理人とは?

次は、

相続人はいるけれど、連絡が取れない
行方が分からない

というケースです。

この場合に登場するのが、

不在者財産管理人

です。

典型的な相談例

  • 相続人の一人が海外へ行ったまま音信不通
  • ずっと行方不明で、住民票も不明
  • 連絡しても返事がない

相続は「全員の同意」で進める場面が多いため、
一人でも欠けると手続きが完全に止まってしまいます。


不在者財産管理人の役割

家庭裁判所が選んだ管理人が、

  • 相続財産を管理する
  • 必要な手続きを代わりに行う
  • 不在者に不利益がないように配慮する

という役割を果たします。

重要ポイント

不在者財産管理人は、

不在者の代理人ではなく「財産そのものの管理人」

という位置づけです。


「相続財産清算人」と「不在者財産管理人」の違い

ややこしいところを、整理してみましょう。

項目相続財産清算人(相続財産管理人)不在者財産管理人
相続人いないいるが行方不明
申立先家庭裁判所家庭裁判所
役割財産を整理して清算財産を守り、必要手続き
最終的に国庫へ帰属することあり相続人本人に渡す

ここを理解すると、

どの制度を使うべきか

が見えてきます。


手続きの流れ(イメージ)

① 相続人がいないか、調査する

戸籍をすべて取り寄せて確認します。

ここでの戸籍収集は非常に大変で、

  • 本籍が転々としている
  • 古い除籍謄本が必要
  • 地方の役所に問い合わせが必要

というケースがあります。

② 家庭裁判所へ申立て

必要書類の例:

  • 収集した戸籍一式
  • 財産目録
  • 不在者の状況説明
  • 申立書 など

③ 裁判所が選任

法律専門職が管理人となることが多いです。

行政書士も管理人になることができます。

④ 財産整理 → 精算・管理へ


よくある質問(Q&A)

Q1:費用はどれくらいかかりますか?

申立手数料のほか、
管理人への報酬などが発生します。

ケースによって異なるため、

事前見積もりをとること

が大切です。

Q2:家族が勝手に預金を引き出したら?

トラブル・法的問題になる可能性が高いです。

必ず専門家へ相談してください。

Q3:時間はどれくらいかかる?

数ヶ月〜1年以上かかることも珍しくありません。
早めの対応が何より重要です。


放置すると起こるトラブル

放置してしまうと、次のような問題が起こります。

  • 不動産の名義が変わらない
  • 管理費・固定資産税が滞納
  • 空き家トラブル
  • 近隣住民との紛争
  • 財産が散逸

相続は「時間が解決するもの」ではありません。


行政書士としてお手伝いできること

当事務所では、

  • 戸籍収集
  • 相続関係の調査
  • 家庭裁判所への申立サポート(連携士業)
  • 財産目録作成
  • 相続全体の整理

などをワンストップでサポートしています。

「誰に相談していいのかわからない」
そんな時こそ、一度ご相談ください。


まとめ — 迷ったら早めの相談が一番の近道

相続人がいない場合、
相続人が行方不明の場合。

どちらも共通しているのは、

早めに動くほど、解決がスムーズになる

という点です。

  • 相続財産清算人
  • 不在者財産管理人

制度を正しく理解し、
適切な手続きを選ぶことが大切です。

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