複雑な相続関係とは?行政書士がわかりやすく解説|揉める原因と解決策

目次
はじめに
「うちは家族関係が複雑で……」
「兄弟も多いし再婚もあるので、どこから手を付けたらいいか分からない」
という声をよく耳にします。
相続は、単に財産を分ける作業ではなく、
亡くなった方の人生・家族の歴史・感情・法律知識が複雑に絡み合うため、
とてもデリケートで難しくなりやすい分野です。
特に近年は再婚家庭の増加や兄弟姉妹の疎遠化、親族の高齢化などにより、
「複雑な相続関係」が増えています。
相続問題の多くは資産額の大小よりも、
家族関係の複雑さがトラブルの引き金になっているという現実です。
この記事では、「複雑な相続関係」とは何か、
どのようなパターンが揉めやすいのか、
そして行政書士としてどのような解決策があるのかを分かりやすく解説します。
そもそも「複雑な相続関係」とは?
複雑な相続関係とは、
相続人の人数が多かったり、家族関係が複雑であったり、
財産が分けにくい性質だったりして、
遺産分割協議が簡単にはまとまらない状態を指します。
典型的には次のような特徴があります。
- 相続人が多い(5人以上など)
- 相続人同士が疎遠、連絡が取れない人がいる
- 再婚(ステップファミリー)で前妻(夫)との子と後妻(夫)が混在
- 認知した子や非嫡出子がいる
- 相続人の一部が海外在住
- 代襲相続が発生し、孫が相続に入る
- 遺言書の内容が不完全、複数存在する
- 相続財産が不動産中心で分割が難しい
こうした要素が複合的に重なると、相続手続きは一気に複雑化します。
最も感じるのは、
家族関係の複雑さが法律的な複雑さを何倍にも増幅させるということです。
複雑な相続関係が増えている背景
1.再婚家庭の増加
再婚率は年々上昇し、今では珍しくありません。
しかし、相続となると状況は一気に複雑化します。
- 前婚の子ども
- 後婚の配偶者
- 後婚の子ども
これらが1つのテーブルに座って遺産分割を行うわけですから、
利害調整が難しくなるのは当然です。
2.兄弟姉妹の疎遠化・全国分散
地方では、兄弟の誰か1人だけが地元に残り、
他は都会へ出ているケースが多いです。
久しぶりに顔を合わせるのが相続というケースもあり、
話がまとまりにくくなります。
3.相続人の高齢化
相続人自身が高齢で判断能力が低下している場合もあります。
「子が親の面倒を見る」時代から「高齢者が高齢者の相続をする」時代へ移行しているのが現状です。
4.不動産中心の相続
郡山市を含む地方都市では、
現金よりも不動産の比率が高い傾向があります。
特に農地や自宅などは分けにくい財産のため、話し合いが難航します。
複雑になりやすい相続関係トップ10
特に複雑化するパターンを紹介します。
① 再婚家庭(前妻・後妻・両方の子がいる)
最も揉めやすいケースです。
感情面の対立が大きく、
遺産分割協議が前に進まなくなることがあります。
② 認知した子ども・非嫡出子がいる
家族がその存在を知らないまま相続が始まり、
突然連絡が入ることでトラブルになることがあります。
③ 相続人が多い
5人以上になると合意形成が難しくなります。
相続は原則全員一致が必要なため、1人でも反対すると前に進みません。
④ 相続人の連絡が取れない
海外在住、住所不明、音信不通など、手続きが遅れます。
⑤ 不動産中心で分割しづらい
特に農地や自宅しかない場合、
どう分けるかで紛争になりがちです。
⑥ 遺言書が不完全・矛盾している
自筆証書遺言が何度も修正されていたり、
複数存在する場合は、解釈争いになります。
⑦ 相続放棄が絡むケース
放棄が出ると別の相続人が繰り上がり、さらに複雑になります。
⑧ 代襲相続が発生
孫が相続人となると系図が複雑になり、相続人も増加します。
⑨ 事実婚・内縁関係のパートナーがいる
法律上は相続権がないため、感情面で対立しやすいのが特徴です。
⑩ 親族間でもともと争いの火種がある
介護の負担、過去の不満、兄弟間の格差が噴出します。
複雑な相続が引き起こすトラブルの実例
1.遺産分割協議がまとまらない
不動産を誰が取得するか、売却するかで意見が割れ、
協議が何ヶ月も進まないケースがあります。
2.相続手続きが期限に間に合わない
相続税の申告期限(10ヶ月)が迫る中で協議が終わらず、
税務署対応が大変になります。
3.相続財産の管理が曖昧なまま放置される
特に不動産は、名義が亡くなった方のまま10年、
20年と放置される事例もあり、次の代でさらに問題が拡大します。
4.親族関係の断絶
相続がきっかけで兄弟が絶縁になったり、
親族間の交流が完全に途絶えることもあります。
複雑な相続関係を解消するためのポイント
1.まずは相続人を確定すること
複雑な相続では、
戸籍の収集だけで数十通必要になることがあります。
代襲相続・非嫡出子・再婚などが絡むと、戸籍の読み取りは専門家でなければ難しいこともあります。
2.財産調査を丁寧におこなうこと
不動産は地番や登記が複雑で、
実際の所有者が誰か分からないケースもあります。
通帳・証券・保険なども漏れがないように確認が必要です。3.遺言書があれば必ず検認または法的確認を行う
特に自筆証書遺言は、形式不備で無効になることがあります。
専門家によるチェックが安心です。4.相続人間のコミュニケーションを丁寧に行う
相続は感情面が大きく影響します。
行政書士が間に入って中立的な立場で調整することで、話がスムーズになることが多いです。5.早い段階で専門家(行政書士)へ相談する
複雑な相続ほど、早期対応がトラブル防止につながります。
行政書士ができるサポート内容
行政書士は「相続の入口から出口まで」広くサポートできます。
- 戸籍収集・相続人調査
- 相続関係説明図(家系図)の作成
- 財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の名義変更に必要な書類作成
- 相続手続きの全体コーディネート
- 遺言書作成支援
- 家族信託の相談
- 生前対策の提案
特に、複雑な相続関係の場合、
行政書士が間に入ることで、
感情的な対立が緩和され、
事務的に協議を進められるという効果があります。
まとめ:複雑な相続ほど「早めの準備」が鍵
相続が複雑になる原因は、
家族関係の複雑さと、
不動産という分けにくい財産があることが大きな要因です。
そして、
- 再婚
- 非嫡出子の存在
- 相続人の多さ
- 不動産中心の財産構成
これらが重なると相続は複雑化します。
「うちは大丈夫だろう」と思っていても、
実際に相続が起きると誰も予想しなかった問題が出てきます。
複雑な相続ほど、早めに専門家に相談し、
相続人調査と財産調査を丁寧に進めることが重要です。
行政書士としては、
必要な書類の収集、
相続関係説明図の作成、
遺産分割協議書の作成までワンストップで対応できますので、
まずはお気軽にご相談ください。

