農地法違反になるケースとは?|行政書士が解説する具体例・罰則・予防策

はじめに

農地の売買や転用に関するご相談を受けていると、


「これって農地法違反になりますか?」


というご質問を数多くいただきます。

とくに、相続後の農地処理や太陽光発電設備の設置、資材置場への転用などは、

知らず知らずのうちに違反状態になっているケースも少なくありません。

本記事では、行政書士の視点から

  • 農地法違反になる具体的ケース
  • よくある勘違い
  • 罰則の内容
  • 違反を防ぐための実務ポイント

を体系的に解説します。

農地法とは何か?まずは基本の整理

農地法とは、農地を守り、

無秩序な転用や投機的売買を防止するための法律です。

農地法の大きな柱は次の3つです。

  • 第3条:農地の権利移動(売買・賃貸など)
  • 第4条:農地の転用(自己使用目的)
  • 第5条:農地の転用を伴う権利移動

つまり、

「農地を誰が使うのか」
「農地を農地以外に変えるのか」

これを厳しく管理する法律です。

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農地法違反になる代表的ケース

ここからが本題です。

① 無許可で農地を売買・賃貸した場合(3条違反)

農地を売買・贈与・賃貸する場合、原則として農業委員会の許可が必要です。

例えば:

  • 農家でない人に農地を売った
  • 許可前に所有権移転登記をしてしまった
  • 使用貸借を勝手に開始した

これらはすべて違反の可能性があります。

特に注意すべきは、

「契約を結んだだけで違反になるのか?」

という点です。

農地法3条は許可を条件とする停止条件付契約にするのが実務上の鉄則です。

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② 無許可で農地転用した場合(4条違反)

農地を宅地や駐車場、資材置場にする場合は転用許可が必要です。

違反例:

  • 砂利を敷いて駐車場にしてしまった
  • コンテナを置いた
  • 太陽光パネルを設置した
  • 盛土して造成した

「まだ建物を建てていないから大丈夫」というのは誤解です。

農地としての形状を変更した時点で違反になる可能性があります。

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③ 無許可で転用目的の売買をした場合(5条違反)

もっとも多いのがこのケースです。

例:

  • 建売業者が農地を買って造成開始
  • 太陽光業者が農地を取得
  • 相続人が宅地として売却

農地を農地以外にする目的で権利移動する場合は、

都道府県知事許可(または農業委員会許可)が必要です。

市街化区域なら違反にならない?

ここでよくある誤解があります。

市街化区域の場合は、原則「届出制」です。

しかし、

  • 届出をせずに工事開始
  • 届出前に所有権移転

これらは違反になります。

都市計画法上の市街化区域だからといって、

農地法が適用されないわけではありません。

違反したらどうなる?罰則と行政措置

農地法違反には厳しい罰則があります。

主なもの:

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下)
  • 原状回復命令
  • 工事中止命令

原状回復命令とは、

「元の農地に戻しなさい」

という命令です。

例えば、

  • 砂利を撤去
  • 盛土を除去
  • 太陽光設備を撤去

これらを自費で行う必要があります。

相続の場合は違反にならない?

相続による取得は許可不要です。

しかし注意点があります。

相続後に:

  • 無断で転用
  • 勝手に駐車場化
  • 第三者へ賃貸

これを行えば違反になります。

また、相続登記とは別に

農業委員会への届出(相続届出)が必要です。

太陽光発電は違反になりやすい?

特に注意が必要なのが営農型太陽光です。

営農型太陽光(ソーラーシェアリング)は、

  • 一時転用許可
  • 営農計画書
  • 下部農地の適正管理

これらを守らなければ違反になります。

実務では

  • 営農実態がない
  • 雑草放置
  • 収量不足

などで是正指導が入るケースがあります。

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農振農用地の場合はさらに厳しい

農業振興地域内の農用地区域(いわゆる「青地」)は、原則転用不可です。

違反転用は特に厳しく扱われます。

農振除外を経ずに転用した場合、

ほぼ確実に是正対象となります。

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違反パターン(例)

実務で多いのは以下です。

  1. 不動産会社が許可前に造成
  2. 相続人が駐車場化
  3. 業者が「大丈夫」と説明して着工
  4. 地目が田だから農地だと気づかなかった
  5. 公図と現況の不一致

特に「地目が畑・田のまま」は要注意です。

農地法違反を防ぐチェックリスト

地目は何か
✔ 農振地域か
✔ 市街化区域か
✔ 許可が必要か
✔ 契約書は停止条件付か
✔ 工事開始前に許可取得済か

この確認だけで、多くの違反は防げます。

違反が発覚するきっかけ

多くは以下から発覚します。

  • 近隣住民の通報
  • 農業委員の巡回
  • 固定資産税課との情報共有
  • 太陽光案件の監視

「バレないだろう」は通用しません。

是正の流れ

違反が確認されると:

  1. 是正指導
  2. 工事停止命令
  3. 原状回復命令
  4. 刑事告発

原状回復は非常に高額になります。

例:

  • 盛土撤去
  • 砂利撤去
  • パネル撤去
  • 造成復旧

数百万円単位になることもあります

是正の選択肢は2つ

① 原状回復(完全復元)

もっとも確実な方法。

内容例:

  • 砂利撤去
  • 盛土除去
  • コンクリート撤去
  • 太陽光パネル撤去

費用は数十万~数百万円規模。

ただし刑事リスクは軽減されやすい。


② 追認許可(事後許可申請)

可能な場合のみ選択できます。

条件

  • 立地基準を満たす
  • 許可見込みがある
  • 悪質性が低い

例えば:

✔ 第二種農地
✔ 市街化区域内
✔ 周辺状況が宅地化

なら可能性あり。

ただし、

農振農用地(青地)は原則不可

です。

行政書士に相談すべき理由

農地法は、

  • 都市計画法
  • 農振法
  • 開発許可制度

などと密接に関係しています。

単純な許可申請ではなく、
事前調査が9割です。

違反状態になってからでは、時間も費用も倍以上かかることが多いのが実情です。

まとめ|農地法違反は「知らなかった」では済まない

農地法違反になるケースは、

  • 無許可売買
  • 無断転用
  • 許可前着工
  • 農振無視

など多岐にわたります。

特に不動産業者や相続案件では、知らずに違反してしまうケースが多発しています。

しかし、

事前調査を徹底すれば防げる違反がほとんどです。

農地に関わる場合は、

必ず事前に専門家へ相談することが最善のリスク管理です。