遺言書との違いは?エンディングノートの正しい意味と目的

はじめに:エンディングノートと遺言書、何が違うの?

「エンディングノートと遺言書、どちらを書けばいいの?」


これは終活を考える多くの方が最初に抱く疑問です。

どちらも「自分の想いを残すもの」ではありますが、


法的効力や目的、使われ方はまったく異なります。

「エンディングノートと遺言書は、どちらか一方ではなく役割が違う2つのツール」
ということです。

この記事では、


両者の違いをわかりやすく解説しながら、


それぞれをどう使い分けるのがベストかをお伝えします。

エンディングノートとは何か

エンディングノートとは、


自分の人生・財産・想いを家族に伝えるためのノートです。

書く内容にルールはなく、


たとえば次のようなことを自由に記入します。

  • 自分の基本情報(住所・家族・緊急連絡先など)
  • 医療・介護に関する希望(延命治療、介護施設の希望など)
  • 財産や口座の情報
  • お葬式・お墓の希望
  • 大切な人へのメッセージ

つまり、
「法的な文書」ではなく「心の整理帳」のようなものです。

「自分が亡くなった後、家族が困らないように」


「想いを伝えておきたい」


そんな優しい気持ちから書く人が多いのが特徴です。

また、最近では「終活ノート」「マイライフノート」などの名称でも販売されています。

遺言書とは何か

一方の遺言書(いごんしょ)は、


自分の死後、財産をどう分けるかを法的に定める文書です。

民法によって細かく定められており、


形式を守らないと無効になる可能性があります。

代表的な形式は次の3つです。

  1. 自筆証書遺言
     自筆で全文を書く遺言。法務局で保管可能になりました。
  2. 公正証書遺言
     公証役場で公証人に作成してもらう最も確実な方法。
  3. 秘密証書遺言
     内容を秘密にしたまま公証役場で存在だけ証明してもらう方法。

遺言書の最大の特徴は、


法的効力を持つこと。


つまり、書かれた内容に基づいて遺産分割や名義変更が進められます。

エンディングノートと遺言書の違いまとめ

以下の表で両者の違いを整理してみましょう。

比較項目エンディングノート遺言書
目的想い・情報を家族に伝える財産分配を法的に決める
法的効力なしあり
書き方自由(市販ノートや手作り)法的要件あり(民法)
内容医療・葬儀・感謝・連絡先など相続・遺贈・遺産分割など
保管方法自由(自宅・家族に預ける)公証役場・法務局など推奨
修正いつでも自由にできる新しい遺言を作成して差し替え
対象者家族・友人・知人など自由相続人・受遺者など特定の人

つまり、

  • エンディングノートは家族への手紙
  • 遺言書は法的な命令書
    といえます。
遺言書が必要なのはなぜ?そもそもいる?いらない?

はじめに 遺言書はそもそもいらないのではないか? そのように考えたことはありませんか。 確かに民法第900条に「法定相続分」の記載があり、 何もしなくても相続人に…

どちらが大事?実際に起こった現場の声

ここで、想定されるトラブル事例を紹介します。

事例①:遺言書はあったけれど家族が揉めたケース

ある男性はきちんと公正証書遺言を作っていましたが、


その中には「なぜこのように分けたのか」という理由が書かれていませんでした。

相続人の一人が不満を持ち、


「父は私を嫌っていたのか?」と疑心暗鬼に。

もしエンディングノートに気持ちを書いていれば、


誤解を防ぎ、家族が納得して相続を終えられたかもしれません。

事例②:エンディングノートが家族の道しるべになったケース

別のご家庭では、80代のお母様が手書きのエンディングノートを残していました。


そこには「延命治療は望まない」「葬儀は家族だけで静かに」など、

細かい希望が記されていました。

結果として、家族は迷わず対応でき、


「母の希望通りに送ることができた」と感謝されました。

このように、


遺言書が法的トラブルを防ぐものなら、


エンディングノートは心のトラブルを防ぐものと言えます。

どちらを先に作ればいい?行政書士のおすすめ順

結論から言うと、

エンディングノート → 遺言書の順番で作るのが理想です。

理由はシンプルです。

  1. エンディングノートで自分の考え・価値観を整理できる
  2. その内容をもとに、遺言書で法的に確定させる

いきなり遺言書を書こうとしても、


「何を書けばいいのか」「誰に何を残したいのか」が明確でない方がほとんどです。

エンディングノートを先に書くことで、

  • 財産の整理
  • 家族関係の整理
  • 感情的な整理

ができ、遺言書作成がスムーズに進みます。

また、行政書士としてサポートする際も、


まずエンディングノートの内容をヒアリングしてから


法的な遺言書の形に落とし込む流れを採用しています。

エンディングノートに書いておくと良い内容

以下のような項目を整理しておくと、


遺言書作成にも役立ちます。

  1. 家族・親族の一覧と連絡先
  2. 銀行口座・保険・不動産の情報
  3. 借金・ローン・保証人関係
  4. 延命治療・介護・医療方針
  5. 葬儀・墓地の希望
  6. 親しい友人・お世話になった人への感謝
  7. デジタル情報(パスワード・SNS)
  8. 専門家(行政書士・税理士・司法書士など)の連絡先

これらを書いておくことで、


家族はあなたの意思を正確に理解でき、手続きもスムーズになります。

※エンディングノートの書き方については下記より

行政書士が解説!エンディングノートの正しい書き方と相続トラブルを防ぐ活用法

はじめに 「もし自分に何かあったとき、家族に迷惑をかけたくない」 「自分の想いをきちんと残しておきたい」 ――そんな気持ちから注目されているのが「エンディングノート…

注意点とよくある誤解

❌「エンディングノートを書けば遺言書はいらない」

→ これは誤りです。


 ノートに「長男に家をあげたい」と書いても、法的効力はありません。

❌「遺言書だけで充分」

→ これも誤り。


 遺言書は財産の分配しか書けず、感情面までは伝えきれません。

✅両方を作ることで、初めて本当の安心が得られます。

行政書士がすすめる実践ステップ

1.まずはエンディングノートを1冊用意
 → 市販品・無料テンプレートでもOK。

2.1日10分でいいから書き出す
 → 思いついたことからで構いません。

3.1年に1回見直す
 → 家族構成や財産は変わるため、更新が大事。

4.書いたことを家族に伝える
 → 「どこに置いてあるか」を共有しておきましょう。

5.行政書士に相談して遺言書化する
 → 書いた内容のうち法的に残したい部分を公正証書遺言に。

エンディングノートは生き方の整理帳

多くの方は「死後の準備」と考えがちですが、


実はエンディングノートは「これからの生き方を考えるノート」でもあります。

書いていくうちに、


「これから何をしたいのか」


「誰に感謝を伝えたいのか」


「どんな最期を迎えたいのか」


が見えてきます。

結果的に、


今をより大切に生きるきっかけにもなるのです。

まとめ|エンディングノートと遺言書は心と法の両輪

  • エンディングノートは「想いを伝える」
  • 遺言書は「法的に残す」

この2つを組み合わせることで、


「家族の心」と「手続きの安心」の両方を守ることができます。

当事務所では、


エンディングノートの作成や、


遺言書作成・公正証書化のサポートも行っています。

終活の第一歩として、


今日から少しずつ、自分の想いを書き留めてみませんか。

家族に迷惑をかけたくない。
想いをしっかり伝えたい。
そんなあなたにこそ、エンディングノートは最高の相棒です。