農地転用申請で「不許可」になりやすい事例とは?

目次
はじめに
農地転用の相談を受けていると、
「申請すれば許可は下りると思っていた」
「なぜ不許可になったのか分からない」
という声を非常に多く耳にします。
しかし、農地転用(農地法4条・5条)は、
形式を整えただけでは絶対に通らない許認可です。
実際の審査では、
立地・必要性・計画の具体性・資力・周辺農地への影響など、
複合的かつ実質的な判断が行われます。
この記事では、農地転用申請で不許可になりやすい典型事例を中心に、
✔ なぜ不許可になるのか
✔ どうすれば回避できるのか
を、実務経験ベースで詳しく解説します。
これから農地転用を検討している方はもちろん、
「一度断られた」「これから申請予定」という方にも必ず役立つ内容です。
農地転用で不許可になる最大の理由は「立地」
農用地区域内農地(いわゆる青地)
不許可になりやすい事例の中で、
圧倒的に多いのが農用地区域内農地です。
農用地区域内農地は、
- 将来にわたり農業利用を優先すべき土地
- 国・自治体の農業政策上、守るべき農地
と位置付けられており、原則として転用不可です。
「小さな建物だから」
「昔から空き地のようになっているから」
「周りも転用されているから」
このような理由では、まず通りません。
仮に転用するには、
- 農振除外
- 用途区分変更
といった事前手続きが必須となり、これを経ずに申請するとほぼ確実に不許可または却下されます。
市街化調整区域で安易に申請しているケース
市街化調整区域内の農地転用も、
不許可になりやすい代表例です。
調整区域では、
- 「なぜこの場所でなければならないのか」
- 「市街化区域では代替できないのか」
という点が非常に厳しく見られます。
特に以下のような計画は危険です。
- 住宅・駐車場・資材置場
- 特定の事業目的が曖昧
- 事業規模が小さく公益性が低い
立地理由が弱い=不許可につながります。
「必要性」が説明できない転用計画
転用理由が抽象的・感情的
農地転用では、
「なぜ転用が必要なのか」を客観的・合理的に説明しなければなりません。
不許可になりやすい例として、次のような説明があります。
- 「将来使うかもしれない」
- 「とりあえず更地にしておきたい」
- 「相続で取得したが農業はしない」
これらはすべて、
農地を転用しなければならない理由になりません。
農業委員会や知事部局は、
「今、なぜ、この土地を、転用する必要があるのか」
を重視します。
事業計画が甘い・実現性が低いケース
建物・配置計画が未確定
以下のような状態で申請すると、
差戻しや不許可になりやすくなります。
- 建物の規模が未確定
- 配置図が概略すぎる
- 工事内容が不明確
農地転用は「計画許可」です。
曖昧な計画=実現性がないと判断されます。
資力・資金計画が確認できないケース
「お金があるかどうか」は必ず見られる
意外と見落とされがちですが、
資力証明は不許可の大きな原因になります。
不許可になりやすい事例として、
- 自己資金がほぼない
- 融資内定が取れていない
- 見積額と資金計画が合っていない
といったケースがあります。
「許可が下りてから銀行に相談する」は、
農地転用では通用しません。
周辺農地への影響を無視しているケース
排水・日照・通作への影響
農地転用は、
周辺農地への影響が極めて重視されます。
不許可になりやすいのは、
- 排水計画がなく水が流れ込む
- 農道を塞ぐ計画
- 日照を遮る建物配置
といったケースです。
「自分の土地だから自由」という考え方は、
農地転用では通りません。
違反転用がある土地をそのまま申請
既に建物・舗装があるケース
過去に無断転用されている土地について、
是正せずに申請するとほぼ確実に不許可または保留になります。
- コンクリート舗装
- 既存建物
- 資材置場としての使用
これらがある場合は、
- 原状回復
- 顛末書の提出
- 是正措置
を踏まえた上で、慎重に進める必要があります。
農地転用を通すために絶対に意識すべきポイント
不許可を回避するための実務チェック
✔ 立地は適正か(農用地区域・調整区域)
✔ 転用の必要性を論理的に説明できるか
✔ 事業計画・配置計画が具体的か
✔ 資金計画に無理がないか
✔ 周辺農地への影響を検討しているか
✔ 違反状態を放置していないか
これらを申請前にすべて整理することが、最大のポイントです。
まとめ|農地転用は「事前準備」で9割決まる
農地転用で不許可になる多くのケースは、
「制度を知らなかった」
「事前相談をしていなかった」
ことが原因です。
逆に言えば、
✔ 行政の視点を理解し
✔ 事前協議を行い
✔ 書類と計画を丁寧に組み立てれば
許可の可能性は大きく高まります。
農地転用は、
「書類を出す仕事」ではなく
「許可される計画を作る仕事」です。
少しでも不安がある場合は、
農地法を専門に扱う行政書士へ早めに相談することを強くおすすめします。
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